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遺言書と遺産分割協議書について教えてください。どちらが優先されますか?

よく似た名称の遺言書と遺産分割協議書。

この2つの書類は同じものと思われがちですが、作成のタイミングや目的に違いがあります。

今回は「遺言書と遺産分割協議書の違い」についてご紹介します。

 

▶ 遺言書とは

遺産分配や相続について、希望を示すための法的文書で、遺言者(本人)の死後、財産の処分方法や相続人を誰にするのかを指定する書類を指します。

法律上の要件を満たしている場合、遺言者(本人)の意思を尊重し、遺産分割を行うことができます。

 

▶ 遺産分割協議書とは

相続人間で話し合いを行い、どのように遺産を分割するのか決めた合意書のことを指します。

被相続人によって遺言書が作成されていない場合、遺言書はあっても相続人全員の合意の基、遺言書の内容を変更したい場合に作成されます。

 

▶ 遺言書と遺産分割協議書の違い

遺言書と遺産分割協議書の違いを以下で紹介します。

1.作成のタイミングと目的

作成のタイミング 目的
遺言書 被相続人(本人)が生前に作成。ただし、判断能力がなくなった場合は作成できない。 自身の財産をどのように分配するのかを指示するためのもの。被相続人(本人)の意志が最優先されるため、希望したら特定の相続人や団体に遺贈することも可能。
遺産分割協議書 被相続人(本人)が亡くなった後、遺言書が作成されていない場合や、遺言書はあっても相続人全員の合意の基、遺言書の内容を変更したい場合に作成。 相続人間で話し合い、遺産をどのように分割するのかを決めることができる。

 

▶ 法的効力発生のタイミング

名称が似た書類であっても、法的効力の発生するタイミングが全く違います。

遺言書:被相続人(本人)が亡くなった時点から効力が発生し、法定相続人はその指示に従わなければなりません。

遺産分割協議書:法定相続人間で話し合いを行い、全員の同意が得られた時点から効力が発生します。

 

▶ どちらが優先なのか

遺言書と遺産分割協議書では、原則として ”遺言書” が優先されます。

遺言書の内容が認められた場合、法定相続人はその内容に従わなければなりません。

但し、遺言内容が相続人間で公平性に欠けると感じられる場合は、相続人全員の同意を得られれば、遺産分割協議書で遺言書の内容を変更が可能です。

 

▶ 遺言書と遺産分割協議書の作成方法

各書類の作成方法は以下の通りです。

遺言書:作成には要件が定められており、法律に則った書き方を行わなければなりません。この要件に反した場合、遺言書が無効となる可能性があります。

[要件]日付・署名・押印の有無など

公正証書遺言で作成すると確実に法的に問題のない遺言書が作成できるためおすすめです。

 

遺産分割協議書:相続人全員で協議・合意を得られた場合、作成可能となります。

[注意]未成年者や病気などで判断能力に信用性がない人が相続人に含まれる場合には、特別代理人として第三者へ依頼する必要があります。

 

▶ 遺産分割協議書を作成する上での注意点

遺産分割協議書の作成は、遺言書の内容を希望する際に行われます。

この場合、相続人間で話し合いの末、全員の同意が必要となり、1人でも不合意となれば作成はできません。

その他、法定相続人の中に未成年者がいる場合は、家庭裁判所の許可が必要なことも。その場合は、専門家への相談をおすすめします。

 

▶ まとめ

遺言書は被相続人(本人)の意思を尊重し、遺産分割を行うことのできる法的書類。

遺産分割協議書は被相続人が遺言書を作成していない場合、または作成した遺言書に不公平と感じられる内容の場合、相続人全員の合意が得られれば作成することのできる書類です。

遺産相続、分割において優先されるのは、被相続人が作成した遺言書とされていますか、内容や相続人間での同意次第では優先順位が変わる可能性もあります。

 

種と実 行政書士事務所は、遺言・家族信託・成年後見の専門家です。

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