死後事務委任契約を行政書士の先生にお願いしようと思いますが、その際に「任意後見制度」を利用する契約もセットで結んだほうがいいのではと勧められましたが、メリットを教えてください。
法定相続人の配偶者、子どもがいないという方の多くが「死後事務委任契約」を結ばれています。
そういった方には「任意後見契約」の同時契約が望ましいとされています。
しかし、勧められたからといって、「難しい文言ばかりで契約がどのようなものなのかわからない・・」と同時契約に対し、敬遠される方もいらっしゃるかもしれません。
そこで今回は「死後事務委任契約と任意後見制度の同時契約。契約のメリット」についてご紹介します。
▶ 死後事務委任契約の役割と目的
役割:被相続人(本人)の死後、葬儀などの必要な事務手続きを第三者に委任する契約を指します。
→ 葬儀の手配だけでなく、遺品整理・行政手続・携帯電話など各種契約の解除などの事務手続きがこれに該当します。
目的:本人の死後に関して手続きを確実に行ってもらうことが死後委任契約の主な目的とされています。
▶ 任意後見制度の役割と目的
役割:ご本人が将来、認知症や病気によって判断能力が低下した際、信頼できる第三者に財産管理や生活のサポートなどを依頼するための契約を指します。
任意後見がはじまる前の段階(任意後見受任者)でも死亡届が提出できるようになりました。
目的:判断能力が低下した際、ご本人の意志に基づいて、生活面でのサポートや財産管理を行ってもらうことが任意後見人制度の主な目的とされています。
▶ 任意後見の発効
任意後見の効力は本人の判断能力が低下したとき本人の同意を得て、任意後見受任者が家庭裁判所に任意後見監督人の選任を申立をします。家庭裁判所から任意後見監督人を選任されたときから任意後見が発効します。
▶ 死後事務委任契約と任意後見制度をセットで契約するメリットとは
2つを同時契約するメリットは以下の4つです。
1.将来への安心感
任意後見制度:ご本人が元気で判断能力のあるうちに信頼できる第三者の後見人を選ぶことで、ご本人が認知症や病気によって判断能力が低下した際、スムーズにサポートを受けられるため、安心して生活することができます。
死後事務委任契約:被相続人(本人)が亡くなった後に必要な手続きを信用できる第三者に委任します。さらに生前事務委任契約を結ぶことによって、死後だけでけでなく、生前もスムーズなサポートを受けられます。
2.一貫した対応が受けられる
任意後見制度:生前、後見人として依頼した人に財産管理や身上監護をお願いすることで終末期まで安心して過ごすことができます。
死後事務委任契約:後見人と同じ人に死後の手続きを委任する場合、他者に委任するよりも、ご本人の意志や意向が理解されやすく、手続き上の混乱やトラブルを防ぐことができます。
3.時間の節約ができる
任意後見制度と死後事務委任契約を同時に行うことで別々で契約を行うことよりも手続きがスムーズに進めため、契約にかける時間の節約が可能です。
4.信頼関係があるため安心
後見人にご本人の死後の手続きを委任することは、生前から信頼関係を築けているからできることです。
生前から信頼関係が築けているのであれば、死後の手続きもご本人の意思や意向を深く理解したうえで、安心して任せられます。
5.死亡届を提出してもらえる
今任意後見受任者は届書を作成し、死亡届の提出することができますが、死後事務委任受任者は自身で死亡届を提出することができないため、
相続人がいるときは、死後事務委任契約に基づき、ご本人が死亡したことを相続人に連絡する必要があります。
▶ まとめ
任意後見制度と死後事務委任契約をセットで結ぶことで本人だけでなく、あなたの死後であっても大きな混乱やトラブルなく、手続きを進めることができるため、周囲の人も安心です。
また、これらの契約を結ぶには費用や時間がかかります。別々で契約を結ぶのでは、同時契約よりも多大な時間や費用がかかることもあります。
将来を考え、安心した生活をお考えの方は、別々での契約ではなく、同時契約がおすすめです。
専門知識に対し、敬遠されている方は遠慮はせず、専門家に細かなことまで相談してみましょう。
種と実 行政書士事務所は、遺言・家族信託・成年後見の専門家です。
大切な財産、ご先祖様から代々受け継がれてきた資産をこれからも笑顔で繋げられるよう、皆さまの思いに寄り添った解決策をご提案させていただきます。
まずは、お気軽にご相談ください。