遺言書と死後事務委任契約に書ける内容は全く違うのでしょうか?詳しく教えてください
相続に関し、あなたはどの程度ご存じでしょうか。
遺言書や死後事務委任契約は被相続人であるご本人の死後、残されたご家族や親族など周りの方々が様々な手続きや分配によってトラブルに巻き込まれないために残すものであり、これらの文章にはそれぞれに明確な目的があります。
しかし、あまり詳しい内容を知らない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は「遺言書と死後事務委任契約の内容」について解説します。
遺言書に記載して法律上の効力が発生するのは、遺産を誰に相続させるかという財産の処分に関することです。葬儀に関することを記載しても、法的な効力や強制力はありません。(あくまでも希望する範囲に留まります)
ただし、金銭・財産が絡む事務手続きの場合は、遺言執行と死後事務委任契約の両方にあてはまると考えられます。
▶ 遺言書と死後事務委任契約の内容
遺言書と死後事務委任契約の主な内容は以下の通りです。
[遺言書]
- 財産分配:誰にどの財産を渡すのか
- 遺言執行者の指定:遺言内容を実行する責任者を指定する
- 遺贈:特定の人や団体に寄付や遺贈
- 未成年の子どもの後見人:未成年の子どもがいる場合、後見人を指定する必要がある
[死後事務委任契約]
- 葬儀や火葬の手配:葬儀に対し希望があれば、内容と手配方法を記載
- 遺品整理:遺品整理や処分方法
- 公共料金や契約について:電気・ガス・水道のライフラインの他、インターネット関連の解約手続き
- 銀行や役所での手続き
- 飼っているペットをどうするのか
など
遺言書と死後事務委任契約の違いは以下の3項目です。
1.目的が違う
遺言書:財産や相続に関する指示を主とした文書。
死後事務委任契約:死後の手続きになど具体的な事務手続きを委任するための契約。
2.内容が違う
遺言書:法的な遺産分配や相続に関する指示がある。
死後事務委任契約:遺言では対応できない細々とした事柄を第三者に頼みたいときに具体的な指示をする。
3.法的効力が違う
遺言書:遺産分配時に強制力があり、法的な効力を持っている。
死後事務委任契約:委任契約では事務手続き時に法的効力を持つが、遺産分配では効力はない。
▶ 同じ内容を書く際の注意点
遺言書と死後事務委任契約の両方で同じ内容を書く場合、注意すべきポイントを2つご紹介します。
1.なるべく重複は避ける
内容によって、遺言書と死後事務委任契約のどちらにも同じことを書くことがあります。
同じ内容であっても問題はありません。しかし、同じ内容を両方に書くことで、ご家族や親族などに混乱を与えてしまう可能性があります。
文書を書く前にどちらにどの内容を書くのかを明確に分けてから取り掛かるようにしましょう。
2.法的効力について
▶ まとめ
遺言書と死後事務委任契約は、どちらも遺言者(作成する本人)の意志を反映させるために重要な役割を持っていますが、文書それぞれの目的や内容は異なります。
内容を重複することに対して問題はありませんが、事務手続きや遺産分配の際に混乱が生じないよう、できる範囲で重複することのないよう、それぞれの文書の役割を把握した上で、文書を用意しましょう。
もしも、文書作成に迷ってしまったり、1人で作ることが難しいと感じた場合は、専門家への依頼も視野に入れてみてください。
子どもがいない夫婦や、いても行き来がない、あるいは独身者の場合は、死後の事務手続きをどうすればいいか不安に感じる人からの相談も
増えてきています。
種と実 行政書士事務所は、遺言・家族信託・成年後見の専門家です。
大切な財産、ご先祖様から代々受け継がれてきた資産をこれからも笑顔で繋げられるよう、皆さまの思いに寄り添った解決策をご提案させていただきます。
まずは、お気軽にご相談ください。