
結婚・子育ての資金贈与の非課税制度が2027年3月31日まで2年延長になったと聞きましたが、具体的な内容を教えてください
結婚・子育て資金の一括贈与に関する非課税制度が令和7年度税制改正により2027年3月31日まで延長されることになりました。
これは「結婚や子育てにはお金がかかるから、将来を考えると不安…」といった声に応えるため、国が用意している制度の一つです。
そこで今回は「結婚・子育て資金の一括贈与に関する非課税制度の具体的な内容や注意点」についてご紹介します。
▶︎ 制度の概要について
結婚・子育て資金の一括贈与に関する贈与税の非課税制度を一言で表すと「両親や祖父母から結婚や子育てに使うための資金を受け取っても、一定額までは贈与税が発生しない」というものをいいます。
通常、両親や祖父母から金銭を受け取る場合、贈与税がかかります。
しかし、この制度を利用することで、非課税枠内であれば税金がかからず、安心して資金援助を受けることが可能となります。
▶︎ 贈与税の非課税制度の対象になる人とは
贈与する人:父母や祖父母など、直系尊属
贈与を受ける人:18歳以上50歳未満の子や孫
所得制限:受け取る人の前年の合計所得が1,000万円を超える場合は対象外
▶︎ 非課税の上限額とは
上限は最大1,000万円までです。
ただし、結婚に関する費用は300万円までと、子育てとは上限が異なります。
▶︎ 具体的に資金援助が可能な項目とは
1.結婚に関する費用(上限:300万円)
以下、費用が該当します。
- 挙式や披露宴の費用
- 婚姻前後1年以内に契約した新居の家賃、敷金・礼金、仲介手数料 など
- 婚姻前後1年以内の引越し費用
2.子育てに関する費用(上限:1,000万円)
以下、費用が該当します。
- 不妊治療や妊婦健診費用
- 出産にかかる費用(分娩代、入院費など)
- 子どもの医療費や予防接種、乳幼児健診
- 保育園・幼稚園の保育料、ベビーシッター代
【対象外な項目】
- 結納金、婚約指輪、新婚旅行代
- 家具家電など、日常の生活費
- 光熱費や食費 など
資金贈与は子どもや家庭の生活に直接結びつく費用に限られます。
なお、家具や家電などは家庭生活に必要なものではありますが、一度購入すれば長期間使えるため、結婚や子育てに伴って継続的に発生する費用とはいえません。そのため、この制度の対象外とされています。
▶︎ 利用方法と手続きの流れ
手続きの流れは以下の通りです。
- 贈与を受ける人が金融機関で「結婚・子育て資金専用口座」を作る
- 贈与者が該当口座に資金を入金する
- 金融機関に「結婚・子育て資金非課税申告書」を提出する → 金融機関から税務署に届けられます
- 資金を使用する際は、領収書を金融機関に提出して引き出す
▶「結婚・子育て資金非課税申告書」はどこからもらえる?誰が出す?
この「結婚・子育て資金非課税申告書」は、税務署の窓口や国税庁HPから直接取り寄せるのでなく、口座を作った金融機関から受け取れます。
書類の提出は、贈与者(親や祖父母)ではなく、贈与を受ける人(資金を受け取る子や孫)が自分の名前で金融機関に提出します。
▶ 資金を使い切れなかった場合はどうなるのか
この制度には期限が設けられています。その期限と条件は以下の通りです。
- 贈与を受ける人(資金を受け取る子や孫)が50歳になった時点で残金には贈与税が発生するようになる。
- 贈与者(親や祖父母)や受贈者(資金を受け取る子や孫)が亡くなった場合、その時点から相続税の対象になる。
これには「もらったお金は、結婚や子育てのために期限内に使いましょう」という意図が込められています。
▶ まとめ
20代~30代の世代にとって、結婚や子育てにかかる費用はとても大きな負担になります。
この制度が利用できれば、親や祖父母からの資金援助を非課税で受け取ることができ、家計の助けや将来設計の安心材料にもなるでしょう。
「贈与税が気になって、親や祖父母からの資金援助をためらっていた」という家庭にとって、この制度の延長は心強い味方になるのではないでしょうか。
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