
父親の遺言書が公正証書遺言で残っていると兄から聞きましたが見せてくれません。見れない相続人はどうすればいいのでしょうか
遺言書には、前回ご紹介した秘密証書遺言だけでなく、公正証書遺言、自筆証書遺言といくつかあります。
「相続人だけど、相続内容がわからない‥」
「相続人の代表にあたる人物から相続内容を見せてもらえない‥」など、様々な不安を抱えている方もいらっしゃるかもしれません。
そこで今回は「父の遺言が「公正証書遺言」と聞いたけど見せてもらえない…相続人はどうすればいい?」についてご紹介します。
▶ 公正証書遺言とは
公証役場で公証人が作成する遺言書を指します。
原本は公証役場で保管され、偽造や紛失の心配がないため、信頼性の高い遺言書と言えます。
▶ 相続人は内容を確認する権利がある
相続人であれば、誰でも公証役場で「遺言書の閲覧や謄本の交付」を受けられます。
今回のご相談のように、兄弟姉妹の誰かが見せてくれない場合でも、手続き次第で相続人であれば誰でも確認が可能です。
公正証書遺言は、非常に強い効力を持っていますが、相続人にしっかり内容を伝えられていない場合、後々のトラブルに繋がる可能性があります。円満な相続のために正しい手順で内容確認を行い、自身の権利を理解しておくことがとても大切です。
▶ 公正証書遺言の閲覧方法
閲覧方法は以下の手順です。
1.公証役場へ連絡・訪問
遺言者が遺言を作成した可能性のある地域の公証役場に連絡し、「公正証書遺言」が存在しているか照会してもらいます。
もし、どこの公証役場なのか不明な場合、日本公証役人連合会の提供している「遺言検索システム」でも確認可能です。但し、この検索システムの活用は死亡後に限られます。
2.必要書類を準備する
- 遺言者(今回の相談であれば、お父さま)の死亡を証明する書類(死亡診断書や除籍謄本 など)
- 戸籍謄本(あなた自身が相続人であると証明するもの)
- 本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカード など)
3.遺言書の謄本の交付申請
あなたが相続人であると確認できれば、遺言書の謄本(コピー)が取得可能です。
▶ 異議申し立てができることも
遺言書が存在していても遺言内容が絶対ではありません。
遺言書の内容によっては異議申し立てが可能な場合もあります。
例えば、遺留分が侵害されている場合には、「遺留分侵害額請求」という方法で自身の権利を主張することが可能です。
また、遺言内容に納得がいかない場合でも、法律で守られた最低限の取り分(遺留分の割合・遺留分)を請求できることもあります。
遺留分とは:相続人が最低限受け取ることのできる相続分のことを指します。
遺留分の割合:相続人全体の法定相続分の1/2。今回であれば、兄弟で2人の場合、法定相続分は[兄1/2・あなた1/2]なので、遺留分はその半分の[兄1/4・あなた1/4]になります。但し、人数によっては法定相続分、遺留分も異なります。
▶ まとめ
公正証書遺言は公証役場で保管されており、相続人であれば誰でも確認と謄本(コピー)取得が可能です。
今回のようにお兄さまから、お父さまの遺言書を見せてもらえなくても、遺言書の種類が公正証書遺言であれば、ご自身で遺言書を確認する方法があります。
もし、遺言内容に問題があると感じたら、「遺留分侵害額請求」という法的手段からご自身の権利も守ることもできます。
必要に応じて、行政書士や弁護士などの専門家への相談を行うことで、スムーズで正当な相続手続きが進められます。
お一人で悩まず、まずは専門家にご相談ください。
種と実 行政書士事務所は、遺言・家族信託・成年後見の専門家です。
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