成年後見人がいるので死後事務は成年後見人の方がやってくれますか? 法定後見と任意後見の違いも教えてください。
成年後見制度には法定後見と任意後見があります。
ですが、本人の死後となると話しはどうなるのか、制度について疑問に思われている方も少なくありません。
成年後見人や任意後見人は生前と変わらず、死後事務も一緒に行ってくれるのでしょうか。
そこで今回は「後見制度はいつまで権限を持っているのか。また法定後見と任意後見とは何か」についてご紹介します。
▶ 法定後見と任意後見の違い
まずは法定後見と任意後見の違いを簡潔にご紹介します。
法定後見‥法定後見人とは、本人(被後見人)の判断能力が低下したときに、財産管理や身上監護を行うことも目的に家庭裁判所から選任された人を指します。
後見人には法律で定められた範囲での権限が与えられますが、本人の意思は反映されないことがあります。
任意後見‥将来に備え、本人の判断能力があるうちに後見人を自ら選び、契約する制度です。
この制度では、本人の意思に基づいて、後見人がどのような権限を持つことができ、どのようなサポートを行うことが可能なのかを詳細に決めることができます。この契約は公正証書によって結ぶことが可能です。その後、本人の判断能力が低下した時は、本人の同意の上で任意後見受任者が家庭裁判所に任意後見監督人選任の申立をして、家庭裁判所が任意後見監督人を選任したときから、効力が発生します。
▶ 成年後見人の支援内容
成年後見人が行いことのできる具体的な支援内容は以下の通りです。
- 日常生活のサポート
- 医療や介護サービスの手配(必要であれば)
- 施設入所手続き(必要であれば) など
▶ 成年後見人と死後事務
成年後見人は本人の存命中ので権限をも持っています。従って、本人の死亡により後見の役割は終了します。
そのため、通常の成年後見制度を利用していても死後の事務を成年後見人が行う権利や義務は発生しません。
但し、死後事務委任契約を生前に結び、成年後見人を死後事務を委任する人物に指定することで、成年後見人に死後の事務を依頼することが可能です。
(*委任する人物は成年後見人だけではなく、第三者でも構いません。)
▶ 成年後見人が必要な人とは
以下のような人に成年後見人が必要と判断されます。
高齢者‥認知症の症状によって、判断能力が低下し、日常的な金銭管理や契約を結ぶことが難しい人。
障害者‥精神的や知的な障害者によって、日常生活や社会性での判断が難しい人。
精神疾患がある人‥統合失調症やうつ病など、精神疾患によって、適切な判断が難しい人。
事故や病気などで判断能力が低下した人‥高齢者でなくても事故や病気によって、意識が低下し判断能力が失われた人。
▶ まとめ
法定後見と任意後見の違いは本人の判断能力の有無によって異なります。どのタイミングから制度を利用されるかは各ご家庭やご本人次第です。
ご家族や周囲の方の負担を考える方は任意後見を利用されると安心かもしれません。
成年後見人は通常、本人が存命中のみ本人の財産管理や身上監護を行う権限を持っています。
成年後見制度を利用されていても本人の死後の手続きは権限を持っていないため、行うことはできません。
死後の手続きも生前と同じ人物にお願いしたいのであれば、死後事務委任契約を結び、事務を委任する人物を成年後見人に指定することで、死後も成年後見人に依頼可能です。
成年後見制度の他に死後事務委任契約を結ぶ必要があるため、手間はありますが、死後の手続きを同じ人物に依頼したい場合には、死後事務委任契約を結ばれることをおすすめします。