
就労可能資格の種類と違い!「技術・人文知識・国際業務」と「技能」ってどう違う?
近年では、日本の多くの場所で外国人が働いています。
日本で働く外国人の多くが取得しているのが、働くことができる在留資格(就労可能資格)です。
一口に就労可能資格といっても、職種や仕事内容によっていくつかの種類に分かれています。
その中でも、よく聞くのが「技術・人文知識・国際業務」と「技能」。
どちらも外国人が日本で働くためには必要な在留資格ですが、対象となる仕事が大きく異なります。
そこで今回は「技術・人文知識・国際業務と技能の違い。対象の仕事内容」についてご紹介します。
▶ 「技術・人文知識・国際業務」とは
この在留資格は、専門知識や理論に基づいたオフィスワーク系の職種が対象です。
大学や専門学校で学んだ内容、または実務経験を活かして働くケースが多くあります。
例えば)
【事務職】
- システムエンジニアやプログラマー
- 経理・総務 など
【マーケティング職】
- 通訳・翻訳
- 海外取引担当
- デザイナー など が代表的です。
業務の特徴は、「知識や理論を使って行う仕事」であることです。
そのため、飲食店のホール業務や工場のライン作業など、単純労働は認められていません。
このビザを申請するには・・・
大学(短大を含む)や専門学校で専攻した分野と仕事内容が関連していること。
もしくは、大学等を卒業していなくても、実務経験が一定年数(10年以上(通訳・デザインなどは3年以上))あることが条件になります。
※実務経験‥日本で経験を積んでからこの在留資格を取ることは基本的にはできません。この条件は、母国などで既に十分なキャリアを積んでいる人向けです。
▶ 「技能」とは
特定の技術を必要とする職人・技能系の仕事が対象です。
長年の経験によって身につけた技能を活かして働く人のための在留資格です。
例えば)
- 外国料理の専門シェフ
- 染色や製陶などの伝統工芸職人
- 建築大工や家具製作の職人
- パイロット
- スポーツ指導者 など
このビザの特徴は、学歴よりも実務経験が重視される点です。
例えば、外国料理の専門シェフの場合では、10年以上の調理経験(学歴がある場合は短縮も可)が必要とされています。
また、単なる一般的な調理だけではなく、その国特有の料理技術を持っていることも求められます。
※つまり、「技能」は「技術・人文知識・国際業務」以上に、母国などでの実務経験者向けのものです。
▶「技術・人文知識・国際業務」と「技能」の違い
違いを以下の表にまとめています。
比較項目 | 技術・人文知識・国際業務 | 技能 |
---|---|---|
主な対象 | オフィスワーク系の職種 | 職人・技能職 |
必要条件 | 学歴または実務経験 | 実務経験(熟練技能) |
主な職種 | エンジニア、通訳、事務職など | 料理人、工芸職人など |
判断基準 | 知識・理論に基づく業務 | 経験・技術に基づく業務 |
どちらも「就労ザビ」ではありますが、求められているスキルの方向性が異なります。
技術・人文知識・国際業務‥知識や理論を応用し、仕事をするオフィスワーク系職
技能‥経験や技を基に実務を行う職人職
▶ よくある誤解と注意点
この2つの在留資格でも日本で働けるなら、どちらでもいいと思われがちですが、実際には外国人本人の仕事内容に合った在留資格を選ぶことがとても重要です。
例えば、通訳や事務職で在留資格「技能」を申請しても対象の職種が異なるため認められません。
反対に、料理人を目指しているのに在留資格「技術・人文知識・国際業務」を申請しても取得はできません。
在留資格と実際の業務内容が一致していない場合、更新ができなっかたり、在留資格の取り消しにつながる可能性もあります。
そうならないために、採用する企業も本人も、仕事内容に合った正しい在留資格の選択が大切です。
▶ まとめ
「技術・人文知識・国際業務」と「技能」は、どちらも外国人が日本で働くために必要な在留資格です。
しかし、「技術・人文知識・国際業務」は “知識や理論を活かす仕事”、「技能」は “経験や技を活かす仕事” と役割が明確に分かれています。
就労可能な在留資格の種類を正しく理解することで、企業は適切な雇用管理ができ、外国人本人も安心して日本で働くことができるようになります。
種と実 行政書士事務所は、これまでの経験を活かし、在留資格や永住許可に関するご相談に丁寧に対応いたします。
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