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ひとり身の父が亡くなり、相続手続きにはいると1000万の借金があることがわかりました。相続を放棄すれば返済はしなくてよさそうですが、父名義の家と土地に住んでいるので、これは手放したくありません。いい方法がありますか。兄弟はおらず相続人は私一人です。

相続する遺産のなかに多額の借金があった場合、誰でも相続放棄も一度は考えるのではないでしょうか。

しかし、現在お住まいの自宅や土地に思い入れがあり、それらを残したいと考える方もいらっしゃるかと思います。

借金は放棄したいけれど、自宅や土地は守りたい。そんな都合のいい方法はあるのでしょうか?

今回は「相続で多額借金。家や土地を手放さないための解決策」についてご紹介します。

 

▶ 相続放棄とは

被相続人の資産だけでなく、借金の含めた相続の一切を放棄する手続きのことを指します。

放棄すると全ての相続権がなくなり、負債の支払い義務からも免除されます。

但し、相続放棄をした場合は、被相続人(今回で言えば、お父様)名義の家や土地もそれに該当し、相続できなくなります。

 

▶ 家や土地を手放さないための解決策とは

1.限定承認の検討

限定承認:相続する資産の範囲内でのみ借金を返済する手続きを指します。

手続き:家庭裁判所への申立てが必要。

相続人人数:1人からでも申請可能。

家や土地の価格が借金を上回る場合は、この方法が適している場合も。

2.協議や交渉を行う

被相続人(お父様)の債権者と協議や交渉を行う方法です。

債務整理や分割払いの可能性を協議・交渉し、家や土地を残したままの条件を模索します。

債務整理:借金などの債務を法的又は任意の手段で整理し、返済の負担を軽減又は解消する手続きを指します。

 

3.一旦売却する

売却と聞くと、手放してしまい意味がないと感じるかもしれません。

しかし、一旦家や土地を売却し、借金の返済ができれば、そのまま賃貸契約を結ぶことで家や土地に住むことが可能です。

*賃貸借契約が存在していれば、元の住人(賃借人)には一定の権利があります。但し、賃貸借契約がない場合は、権利がないため、要注意です。

 

▶ 限定承認とは?

上記で出てきた限定承認について説明します。

相続では遺産を引き継ぐ際、 ”プラスの資産” と ”マイナスの資産” を両方引き継ぐ可能性があります。

この限定承認は、相続人が引き継ぐ財産の範囲を ”プラスの資産の範囲内” に限定する制度です。

これは、簡単に言えば、「相続した財産の価値を超えて借金を返済する必要がない」方法と言えます。

例えば)

[現金1000万円、借金1500万円の場合]

限定承認の申述を行えば、借金返済義務は1000万円までとなり、残り500万円は支払う必要がなくなります。

 

▶ 限定承認手続き方法

1.期限内に申述する

相続の開始を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所へ申述を行います。

原則として、期限を過ぎると申述はできません。期限はいつまでがなのか、しっかりと把握しておきましょう。

2.相続人全員の同意が必要

限定承認は相続人全員の同意が必要です。1人でも反対がした場合は手続きは進められません。

必ず相続人全員が一緒に手続きを進める必要があります。

3.必要書類の準備する

以下、書類を用意し、家庭裁判所へ提出します。

  • 被相続人の戸籍謄本
  • 相続人の戸籍謄本
  • 遺産目録
  • 申述書(*家庭裁判所で入手できます)

 

▶ 債務整理について

続いて、債務整理について説明します。

借金などの債務を法的又は任意の手段で整理し、返済の負担を軽減又は解消する手続きを言います。

債務整理には主に以下の3つの方法があります。

1.任意整理

貸金業者や金融機関と直接交渉し、将来の利息や遅延損害金をカットし、元金のみを分割で支払う方法で、裁判所を介すことなく行えるため、手続きが比較的簡単なのが特徴です。但し、借金の減額がされないこと、信用情報いわゆるブラックリストに登録されてしまうデメリットがあります。

2.個人再生

裁判所を通じて借金を大幅に減額してもらい、残りの金額を原則3年~5年で分割返済する方法を言います。

住宅ローンが残っている場合は、特例として自宅を守りながらの手続きも可能です。

但し、個人再生の場合は手続き自体が複雑で時間がかかること、借金の種類によっては減額対象にならないというデメリットがあります。

3.自己破産

裁判所に申立てを行い、借金の返済義務を免除してもらう方法です。

債務整理では借金負担が軽くなりますが、家や高価な財産は処分される可能性があること、信用情報に約10年登録されるため、新たな借入ができなくなるデメリットをもっています。

 

▶ 専門家へ相談がおすすめ

高額な借金が相続に含まれている場合、相続人間だけで話を進めるのではなく、司法書士や行政書士、弁護士といった専門家に相談し、適切な方法を選択しましょう。

特に限定承認の手続きを検討される場合、手続きが複雑なため、専門家への相談をおすすめします。

 

▶ まとめ

相続する遺産のなかに多額の借金がある場合、相続放棄も1つの方法です。

しかし、相続放棄は全ての財産を放棄するもの。家や土地といった思い入れのある財産を守りたい場合は、限定承認が一番有効な手段と言えます。

申述の手続きは複雑なため、専門家の指示のもと、手続きを踏むようにするとスムーズです。

 

種と実 行政書士事務所は、遺言・家族信託・成年後見の専門家です。

大切な財産、ご先祖様から代々受け継がれてきた資産をこれからも笑顔で繋げられるよう、皆さまの思いに寄り添った解決策をご提案させていただきます。

まずは、お気軽にご相談ください。

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